メディカルコラム

甲状腺ホルモン検査

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検査の目的

甲状腺ホルモン検査は、血液中に含まれる甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの値から、甲状腺が正常に働いているかどうかを調べます。

甲状腺ホルモンの種類

甲状腺ホルモンはヨウ素を原料に産生され、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)と呼ばれる2種類があります。

T4は貯蔵型・T3は活動型のホルモンと呼ばれており、T3の作用は一般的にT4よりも強力です。濾胞細胞からはT4が主に分泌され、後に肝臓や腎臓でT3に変換されます。血液中のT4とT3の大部分は甲状腺ホルモン結合蛋白と結合し、そのごく一部が遊離型ホルモン(FT4・FT3)として活性型甲状腺ホルモンとなって全身で作用します。

実際の診療では、ほとんどの場合、血液中のFT4とFT3を測定して、甲状腺機能の評価を行います。

甲状腺ホルモンの調節

甲状腺ホルモンの量は、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調整されています。

TSHが甲状腺細胞膜にある「TSH受容体(レセプター)」に結合すると、その刺激によってT4・T3の合成・分泌が促されます。逆に、血中に分泌されたT4・T3は脳下垂体に作用してTSHの分泌を抑制するように動きます。このようなお互いの刺激と抑制の仕組みで、私たちの血液中のホルモン濃度が正常に保たれています。

甲状腺ホルモン検査の結果

この検査は、採血による血液検査で、以下の項目を測定します。

  • 甲状腺ホルモン(FT4・FT3
  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)

甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの関係はいわばシーソーのようで、例えばバセドウ病などの甲状腺機能亢進症ではFT4・FT3の値は高く、TSHの分泌が抑制されているため値が低くなります。一方で、慢性甲状腺炎(橋本病)など甲状腺機能低下症では逆にFT4・FT3の値が低く、TSHが高値になります。

(表)主な甲状腺疾患における甲状腺ホルモン(FT4・FT3)の値と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値の関係

TSH 高値TSH 低値
FT4/FT3 高値TSH産生腫瘍
甲状腺ホルモン不応症
バセドウ病
無痛性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎
プランマー病
FT4/FT3 低値甲状腺機能低下症
・慢性甲状腺炎(橋本病)
・先天性甲状腺機能低下症
・甲状腺手術後
・アイソトープ治療後
中枢性甲状腺機能低下症

本記事は、隈病院の臨床検査技師が監修しています。

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