



甲状腺自己抗体検査
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検査の目的
甲状腺自己抗体検査は、血液中に自己免疫性疾患を引き起こす自己抗体が存在しているかを確かめることで、甲状腺が正常に働いているかどうかを調べます。
免疫異常による甲状腺の病気
私たちの体には、自分の臓器や細胞などの「自己」と細菌やウイルス、移植された臓器などの「非自己」を区別して、体内に侵入してきた異物を排除するために攻撃するという「免疫機能」が備わっています。
この攻撃を行うのが、抗体と呼ばれるもので、自分の臓器や細胞(自己)を誤って非自己と認識してしまい、これらを排除しようと抗体が自己を攻撃してしまう病気を自己免疫性疾患と言い、自己に対する抗体が過剰に産み出されます。
関節リウマチなどの膠原病も自己免疫性疾患の一つですが、甲状腺の病気では、バセドウ病や慢性甲状腺炎(橋本病)などがこれにあたります。
甲状腺の自己抗体は、主に3種類あります。
1.抗サイログロブリン抗体(TgAb)
甲状腺濾胞細胞に貯蔵されている糖蛋白(サイログロブリン)に対する自己抗体。特に慢性甲状腺炎(橋本病)では高頻度で陽性となり、まれにバセドウ病でも陽性の反応になることがあります。
2.抗TPO抗体(TPOAb)
甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)に対する自己抗体。
甲状腺ペルオキシダーゼは甲状腺組織から抽出された「マイクロゾーム分画」にある物質で、以前はマイクロゾームテストという検査も行われていました。慢性甲状腺炎(橋本病)・バセドウ病ともに陽性になることの多い抗体です。
3.TSH受容体(レセプター)抗体(TRAb/TBII)
TSH受容体(レセプター)に対する自己抗体。TSHがTSH受容体と結合することを阻害し、かわりに結合・刺激することで、甲状腺ホルモン量が増加します。
バセドウ病の原因物質であり、この値を測定することで、バセドウ病の診断、治療の効果や再発の指標になります。
甲状腺ホルモン検査の結果
この検査は、採血による血液検査で、以下の項目を測定します。
- 抗サイログロブリン抗体(TgAb)
- 抗TPO抗体(TPOAb)
- TSH受容体(レセプター)抗体(TRAb/TBII)
自己抗体の数値が高くても、必ず症状が現れるわけではありません。
抗体が陽性の人でも、症状が出ていない方などは、治療の必要がない場合もあります。甲状腺ホルモン検査(TSH・FT3・FT4)と合わせて判断することが大切です。
TSH受容体(レセプター)抗体がバセドウ病を引き起こす仕組み
