



隈病院が推奨する医療
隈病院は、一人一人の身体症状の改善だけでなく、心のケアや日々の生活の質にも目を向けた「全人的医療」を目指しています。甲状腺専門病院として蓄積してきた多くの臨床データに裏付けされた、当院ならではの診療アプローチをご紹介します。
検査について
まずは診察で甲状腺の腫れなどを確認し、症状に合わせて必要な検査を行います。隈病院では正確、迅速、的確な診断と早期の治療開始のため、血液検査・超音波検査などの主な検査は、診察と同日に実施し、当日中に結果をお伝えできる体制を整えています。
治療の特色
甲状腺微小乳頭がんは
『積極的経過観察』を選択肢に
1993年、隈病院3代目院長宮内昭が「低リスクの甲状腺微小乳頭がんは即手術をせず、まず慎重に経過を診る積極的経過観察」を提唱。当院で蓄積した約3,200人のデータから、
- 経過中にがんが増大するのは1割以下
- 経過中に少し大きくなってから手術を行っても甲状腺がんによる死亡はゼロ
- 声帯の神経や副甲状腺の損傷などのリスクが小さい
などの研究成果が得られました。
これをもとに、当院では低リスクの甲状腺微小がんにおいては「積極的経過観察」を推奨しています。なお、この研究成果は国内外で注目され、日本および米国のガイドラインにも採用されています。

『反回神経の再建』で、
あなたの「声」をまもる
手術では声帯に指令を伝える神経「反回神経」の切除・損傷が避けられない場合があります。この神経を再建すると、声帯の萎縮や、発声時の声帯の緊張が回復し、音声をほぼ手術前の状態まで戻し、誤嚥を軽減させることができます。
ただし、再建手術は高度な技術を必要とし、状況によっては断念せざるを得ない場合もあります。ところが、当院3代目院長宮内昭が、独自の発想で、頸神経ワナという別の神経と反回神経をつなぐ方法を考案。従来では困難と判断される事例でも再建可能になりました。

神経への刺激を観察し、
損傷を防ぐ『術中神経モニタリング』
甲状腺の手術では、音声に関係する反回神経や上喉頭神経外枝を損傷するリスクがあり、手術後、かすれ声や高音・長音の発声が難しい、誤嚥などといった変化を来たすことがあります。当院では、手術の過程で神経の損傷をできる限り避けるべく、「神経モニタリング」を積極的に施行しています。電極の付いた特殊な気管内挿管チューブを使用し、筋電図を取りながら神経の場所や機能に変化がないかなどをモニタリングしています。

セルフケアで術後の不調を軽減
『ストレッチエクササイズ』
「食べ物が飲み込みにくい」「首がしびれたりピリピリしたりする」「締め付けられるような感じがして頭を動かしにくい」など、手術後の首の違和感を感じる方は少なくありません。
これらの違和感を解消するため、当院3代目院長の宮内昭と以前当院に勤務されていた外科
高村医師が頸部のストレッチ体操を発案しました。
当院では手術の翌日から、入院患者の皆様にも積極的に行っていただいているこの体操、アメリカ甲状腺学会でも紹介されました。

甲状腺眼症のおくすり
「テッペーザ🄬」による治療
甲状腺眼症(甲状腺の免疫異常により、眼球が突き出たり、ものが重なって見えるなどの症状がでる病気)のおくすり「テッペーザ®」は、2024年9月に製造販売が承認され、臨床の現場で治療を開始できるようになりました。同薬の治験には、当院も参加し、その有効性と安全性を評価する研究には、当院4代目院長赤水尚史が最終著者として名を連ねています。そしてこのたび、当院でも、眼科診療を拡大し、内科担当医と協働のもと、2024年12月から「テッペーザ🄬」での投薬治療を開始しました。

隈病院の実績
一年間の患者数、治療件数、手術件数と、研究活動の実績データを掲載しています。
甲状腺診療の専門病院として、全国から多くの方にご来院いただき、得られた臨床知見を、
積み重ねたエビデンスとともに研究成果として国内外に発信しています。
悩んだらまずは
診察へ
甲状腺の病気は、他疾患の症状と類似する点も多く、
なかなか診断までたどりつけずに治療が遅れてしまうことも少なくありません。
症状から判断することが難しい一方で、
専門病院で血液検査や超音波検査を受けたらすぐに診断がついた、という例も。
適切な治療を行うことで、多くの方の症状が改善し、
以前のような日常生活を送れるようになっています。
重症化してしまう前に、まずは受診してみましょう。