メディカルコラム

お薬ノート:β遮断薬

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甲状腺ホルモンの働き

甲状腺ホルモンの働きには、交感神経を刺激する働きがあります。そのため、血中の甲状腺ホルモンが過剰になると、交感神経系が常に活性化された状態になり、脈が速くなったり、手が震えたり、発汗が増えたりします。

どんなお薬?

一般に、交感神経が興奮すると、神経終末で分泌されるアドレナリンという物質が受容体に結合して作用します。その受容体の1つであるβ受容体を遮断する作用がある薬をβ遮断薬と呼びます。この薬は、甲状腺ホルモンを減らす作用はありませんが、甲状腺ホルモンが体内で多くなった時に出る症状を和らげます。そのため、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症で交感神経症状が強いときには、抗甲状腺薬と併用したり、抗甲状腺薬が使えないときには単独で用いられることもあります。

副作用や禁忌は?

当院ではインデラルやテノーミン、メインテートなどが使われます。高血圧・狭心症・頻脈性不整脈などの治療にも用いられますので、効き過ぎると血圧が下がり、ふらつきが出ることがあるのでご注意ください。また重症の心不全がある方や喘息がある方は、β遮断薬によって症状が悪化するので使えないことがあります。このような病気の既往がある方は、必ず医師にご相談ください。

(隈病院薬剤科 山本 直子)

本記事は、隈病院の医師が監修しています。

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